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活気あふれる「戸越銀座商店街」
昔ながらの商店と今どきのショップが共存し、絶品の食べ歩きグルメを提供する食べ物屋さんとおいしいごはん屋さんが軒を連ねる。そんな商店街を散策したいのであれば、東京一長い「戸越銀座商店街」がおすすめです。伝統あるこの商店街の最寄り駅は戸越銀座駅。山手線の五反田駅で東急池上線に乗り換えると、数分で到着します。
五感で楽しもう
それでは、約1.3kmに渡り、400店舗あまりが並ぶ戸越銀座商店街を歩いてみましょう。
戸越銀座駅に着いてすぐ、一目散に買い物に向かうのはちょっと待って。まずは、温かみのある木造の駅舎を楽しみましょう。この駅舎は、東京の多摩地域の木材を使って2016年にリニューアルされたもの。鉄骨造の建築物と比べ、地域の木材を使うことで二酸化炭素の排出を100トン削減しているのだそうです。
小さな駅の改札を抜け、商店街へと向かいながら後ろを振り返ると、駅の出口に掛かっている「のれん」をくぐっていたことに気付きました。「駅にのれん!?」と、早くも気持ちが弾みます。
目の前の、左右に長く延びる通りを見渡して、まずは左側へと歩を進めることに。商店街に軒を連ねるお店を見て回るのはわくわくするものです。だんご屋さんや八百屋さん、輸入品のディスカウントショップや古着屋さんなどが目を楽しませてくれます。
突然、「ハロー」という声が聞こえたかと思うと、そこにはニッコリと人懐こい笑みを浮かべて、私たちをお店に招き入れようとする男性がいました。サカイ・イッキさんです。大阪出身のサカイさんは、数年前に地元で「ラ・パン」というパン屋を開店。その後、その支店をオープンするために東京へやってきました。現在「ラ・パン」は、大阪・京都・福岡・東京で、たくさんの店舗を展開しています。
店名の「ラ・パン」は、フランス語を使った言葉遊びからきています。日本語の「パン(pan)」にフランス語の定冠詞の「la」を付け、「ラパン」と発音する言葉を作ったのです。「ラパン」という音は、フランス語では「ウサギ(lapine)」を意味します。「ラ・パン」の食パンの隅にウサギの焼き印が付いているのは、そういうことからです。
お店に入り、焼きたてのパンの香りに包まれながら目を閉じると、バターをたっぷり塗った食パンが浮かんできます。このお店では食パンのカット売りはしていません。ふわふわの食パンの1斤のサイズは、スモール、ミディアム、ラージから選べます。
英語が堪能なサカイさんとのおしゃべりは、とても楽しいものでした。サカイさんは、1年ほどオーストラリアに住み、独学で英語を学んだのだと話してくれました。
「ラ・パン」ではエコバッグを持参すると、スタンプが1個もらえます。20個集めた人には、スモールサイズの食パン1斤をプレゼント。お店で人気のサービスです。「ラ・パン」へ行ったらサカイさんに、“G’day(グダイ)!”(オーストラリアの 「こんにちは」)とあいさつしてみましょう。
そしてお店の紙袋にピアノの鍵盤が描かれている理由についても、尋ねてみてくださいね。
所在地:〒142-0041東京都品川区戸越1-19-16
電話:03-6426-1278
営業時間:11~18時
定休日:なし
さらに商店街をぶらぶらしながら、店先を眺めて楽しみます。お団子が蒸されていたり、焼き鳥が炭火でじっくり焼かれていたり、果物や野菜が大特価で売られていたり、サクサクのコロッケに行列ができていたり、大幅に値引きされた輸入食品の箱が道にまで並べられていたり…。
どのくらい歩いたかを地図で確認しようと交差点で立ち止まると、はやりのテイストの看板としゃれた外観のお店に目が留まりました。
お肉屋さんのようですが、なんだかちょっと変わっています。中に入ってみましょう。
「355 MEAT & DERI」へようこそ。この店は、ふつうのお肉屋さんではありません。カウンターチェアや、レトロなグラスが並ぶ店内の照明はほの暗く、リラックスできるトーンのジャズが流れています。店主のハルダ・マサキさんは自己紹介とともに、100年以上に渡り家族で切り盛りしてきたお店のコンセプトを明かしてくれました。肉の品揃えは週替わりで、日本各地の最高級の和牛だけを厳選しているそうです。
また、季節に合わせた手作りのお惣菜やサクサクの揚げ物、見ただけで食欲をそそられるお弁当も販売しています。
お店の入口と外に置いてあるカウンターチェアについて、ハルダさんに尋ねてみました。するとハルダさんは目を輝かせて、そこに座ったお客さんはなんでも好きな飲み物を頼むことができるのだと、教えてくれました。ショーケースの中の肉を選ぶと、プラス100円~200円でハルダさんがその場で調理もしてくれます。注文した飲み物にピッタリのおつまみが頂けますよ!
音楽を愛するハルダさんは、高い音質で知られるマッキントッシュのサウンドシステムを使って、店内に心地よいジャズを流しています。また、自慢のグラスのコレクションも見せてくれました。どれも珍しいものばかりです。こうして過ごしていると、お肉屋さんにいることをすっかり忘れてしまいそうになります。
そうそう!ここには、小さく色鮮やかな熱帯魚が泳ぐ、大型の水槽もあります。あまりの居心地の良さに、お店を離れがたくなってしまいました。
ところで、お店の名前はどんな意味だと思います?ぜひ、ハルダさんに聞いてみてください。彼も英語が話せるので、ご安心を!
所在地:〒142-0041東京都品川区戸越2-6-8
電話:03-6421-5229
営業時間:10時30分~19時30分
定休日:木曜、日曜不定休(事前に確認してください)
もっと奥へ行ってみよう!
今度は駅の反対側を散策するため商店街を戻ると、来るときには気づかなかったお店を発見しました。店名の箱には「1袋詰め放題500円」の表示が!思わず興奮してしまいます。
それは、ちょうど冬物のセールをしていた古着屋さんでした。上質なコート、美しいウールのジャンパー、おしゃれなベレー帽に狙いを定めて袋に詰めてみると、無理なく収まりました。これで500円とは、本当にお買い得!ほかにも安売りをしている古着屋さんがありましたよ。
そろそろ足が疲れてきたので、何か元気を回復させるものを探そうと思ったとき、昭和の雰囲気漂うお店を発見しました。金色の美しい書体に象られた店名がひさしの上に掲げられています。これは通り過ぎるわけにはいきませんね。
そこへ年配の女性が現れ、甘いものを求めていた私たちを笑顔で迎えてくれました。なんと、このお店は和菓子屋さんでした。大当たりです!
この女性はお話し好きの店員さんで、最も売れている和菓子を勧めてくれました。
座って食べることができる席に案内してもらい、購入した和菓子をいただくと、柿の繊細な味わいに嬉しい驚きを覚えます。中に入ったあんこの食感も言うことなし。元気を取り戻すのにちょうどいい甘さです。
このお店は1919年から続いているのだとか。店員さんはお気に入りの和菓子を教えてくれて、次に来た時にはそれを食べるようにと勧めてくれました。商品は季節ごとに変わるそうです。
所在地:〒142-0051東京都品川区平塚2-15-13
電話:03-3781-4394
営業時間:9~20時
生き生きとした商店街
戸越銀座商店街を端から端まで歩き切るまで、あともう少し。コンビニやチェーン店、八百屋さんや魚屋さんを通り過ぎていきます。商店街の賑わいにつられておなかがグーグー鳴ってきたので、「リッキーズ・カフェ」に立ち寄ることに。階段を登った先にあるこの店では、手ごろな価格でカレーのランチを提供しています。ベジタブルカレーセットには、ナン、サラダ、ヨーグルトラッシーが付いていて、とってもお得!居心地のよい隠れ家的なお店です。
所在地:〒142-0051 東京都品川区平塚2-18-3
電話:03-5751-7377
営業時間:11~23時(水曜は~15時)
ラストオーダー:22時
お土産を買おう
リッキーズ・カフェを出ると、ロゴ入りの袋を持っている人を何人か見かけました。向かい側のお店のドアにも同じロゴが。お煎餅屋さんようですね!早速お店に入って、ガラス戸に貼られた広告を頼りに、一番人気の「黒胡椒せん」を1袋買いました。お店を出る時、店員さんたちが「クリームチーズによく合いますよ!」と声を掛けてくれました。
戸越銀座商店街には、昔ながらの温かいおもてなしと親しみやすさ、美味しい食べ物がたっぷりあり、私たちの心も目もおなかも満たしてくれる。散策を終えて駅へと帰る道すがら、そんなことを思いました。
この記事は、サラ・ニシナが執筆しました。
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